音楽サークルを売り込むプロセス
すべての音楽サークルを積極的にメジャーに売り込む作業を行っている。
毎月のように、サンプルCDと、きれいに作られたパンフレットや写真類が送られてきたので、
私も興味をもって連絡を取ったのだが、
中には、私たちの仕事以上にていねいな資料もあったのだ。
メジャーに対抗して、手作りのきめ細かいアートワークやユニークな個性を出すことで、
インディーズならではの活動をしているレーベルも面白いが、
メジャーへの架け橋をそのポリシーにしていることは、
大きな特徴だと言えるだろう。
インディーズでつちかった人脈と宣伝ルートを生かしてのメジャー進出は、
アーティストにとっても急激な環境の変化への対応になるだろうし、
それまでのファンにも、安心感を与えることになるのだろう。
他のインディーズやアマチュアミュージシャンに向けて、CDのプレス会社への代理店業務も行っている。
リーズナブルな値段でCDのプレスやジャケット制作を請け負っているので、
自主制作や新しくレーベルを起こそうという人にとっては、気軽な相談相手になっているようだ。
メジャーを視野に入れた上での底辺の拡大をめざすのが、バンドサークルに対する明確な愛情表現になっている。
メジャーデビューはレコード会社のスタッフの基本的な仕事は、
制作、宣伝、販促、この三つである。私たち制作スタッフの肩書は「A&Rディレクター」となっている。
「A&R」とは何かというと、「アーティスト&レパートリー」の略。
つまり、アーティストとその作品についてのすべての責任者、ということになる。
仕事内容は、レコード会社または所属するレーベルによって実に多種多彩である。
しかし、宣伝スタッフや販促スタッフにとって、A&Rディレクターの考え方が、
仕事を進める上での大きな方向性を決める基盤になることは共通しているといっていいだろう。
特に、新人アーティストがデビューするときには、
ディレクターの説明の内容次第で、音楽性のセールスポイントとイメージの作り方、
そしてこれにもとづく宣伝、販促の方針が大きく異なってくる。